この記事では1981年（昭和56年）に起きた芸能・文化・スポーツ・事件・事故などを紹介・解説しています。
1981年の主要ニュース
3月2日｜中国残留孤児47名が初来日
中国残留孤児とは、第二次世界大戦による家族との生き別れや死別により、中国に取り残された日本人孤児のことである。
未帰還の孤児は1万4千人とも言われていたが、戦後日本と中国の国交が無かったことから、長年のあいだ調査されないままだった。
戦後36年もの歳月を経たこの日、肉親との血縁関係を確認するために47名の中国残留孤児が来日した。
以降1999年までの間、血縁関係確認のための訪日が続いた。
3月20日｜兵庫県神戸市でポートピア’81開幕
ポートピア’81は、正式名称を神戸ポートアイランド博覧会。神戸港に造られた人工島、ポートアイランドにおいて開催された博覧会のことである。
1981年3月20日から9月15日まで開催されたポートピア’81は「新しい”海の文化都市”の創造」というメインテーマのもと、多くの歓びと感動を生んだ。
世界最大となった観覧車や中国から借り受けた2頭のジャイアントパンダも話題を呼び、その来場者数は1610万人にも及んだ。
埋立地であるポートアイランドは現在、神戸学院大学や神戸大学医学部附属病院が建設され、さらに南側に新にできた人工島には2006年に神戸空港が開港している。
10月19日｜福井謙一がノーベル化学賞を受賞
共同通信社より引用
ノーベル化学賞は、物理学、化学、生理学・医学、文学、平和および経済学の6部門のうち、「化学」の分野において、重要な発見や改良を成し遂げた人物に授与される賞。
科学分野における世界最高の栄誉とも言われる同賞だが、1981年のこの日、ノーベル化学賞を日本人で初めて受賞したのが福井謙一だ。
当時京都大学の教授として勤務していた福井謙一は、フロンティア軌道理論を提唱。
この理論により、分子同士の反応が起こる理由を理論的に解説することが可能となり、のちの化学界に大きな影響を及ぼした。
1981年の文化・芸能ニュース
3月31日｜ピンク・レディーが解散
ピンク・レディーは、オリコン9曲連続1位、10曲連続ミリオンセラーなど数々の金字塔を打ち立てた超人気デュオ。
「渚のシンドバッド」「UFO」「サウスポー」などの大ヒットを生み、絶頂期の爆発的人気は『社会現象』とまで言われたほどだった。
しかし、1978年末の紅白歌合戦出場辞退などをきっかけに、1979年以降は人気が低迷。
1981年3月31日のこの日、雨が降りそそぐ後楽園球場で、解散コンサートが開催された。
8月22日｜人気作家、向田邦子さんが航空機墜落事故で帰らぬ人に
毎日新聞より引用
人気作家の向田邦子さんが、1981年のこの日、遠東航空機墜落事故により51歳という若さで亡くなった。
向田邦子さんは、「時間ですよ」「寺内貫太郎一家」といった数々の人気作品を世に送り出し、特にホームドラマ作品の脚本家として有数の知名度を誇っていた。
そんな向田さんを襲った突然の死は、日本中に衝撃をあたえ、多くの人を悲しませた。
倉本聰・山田太一と並んで「シナリオライター御三家」とまで呼ばれた向田さんの死は、のちの日本社会にとっても大きな痛手だっただろう。
9月｜長渕剛と石野真子が結婚
人気シンガーソングライターの長渕剛と、トップアイドルの石野真子が結婚。
長渕剛は前年に発売した「順子」のヒットにより人気を高めており、石野真子はアイドル歌手として紅白歌合戦への出場も果たしていた。そんな大物2人の結婚に世間は賑わった。
翌1982年には結婚式も挙げ、幸せの絶頂だと思われていたが、1983年にはなんと離婚を発表。
あまりにも早すぎる離婚の理由は明らかになっていないが、長渕剛のＤＶが原因だと言われている。
1981年の主な事件
1月22日｜佐賀替え玉保険金殺人事件が発生
佐賀替え玉保険金殺人事件とは、多額の借金を背負った北九州市の水産会社社長が、自らにかけた保険金をだまし取るために競艇場でたまたま出会った、自分に似た赤の他人を身代わりに殺害した事件。
事件には、水産会社社長の妻や愛人も関与しており、彼女らの共謀により捜査は難航した。
結果として、事件のすべては社長が仕組んだものだと明らかになったものの、妻と愛人が拘束された数日後に社長が自殺したことで事件は幕を閉じた。
警察を欺いた巧妙なトリックが話題となり、のちに火曜サスペンス劇場でドラマ化もされている。
6月11日｜パリ人肉事件発生
パリ人肉事件とは、パリ留学中の日本人留学生が、友人のオランダ人女性を射殺後に死体の一部を食べるという何ともおぞましい事件。
犯人の名は、佐川一政。当時32歳。
この猟奇的殺人事件は、日本やフランスに留まらず世界中を震撼させた。
佐川一政は、心神喪失等を理由に不起訴処分で無罪。
のちに診断が誤っていたのではないかと日本警察が再び裁判にかける方針を出したが、逮捕したフランス警察が捜査資料を日本警察に引き渡すことを拒否した。
その結果裁判が行われることは無く、現在も作家やコメンテーターとして公に時折姿を見せている。
6月14日｜柏の少女殺し事件が発生
柏の少女殺し事件は、千葉県柏市にて発生した当時中学3年生の男子による殺人事件である。
被害者は柏第三小学校6年の波多野みどりちゃん（11歳）で、日曜日の学校で果物ナイフが突き立ったままの状態で絶命していた。
14才の知的障がい者が犯人とされた事件であったが、逮捕から1年が経過した1982年に容疑者が犯行を否認した。
中学生は、犯行現場で突き立っていたものと同じ果物ナイフを購入したことが明らかとなっていたが、否認後に同じ型の果物ナイフが犯人宅の押し入れから見つかった（つまり犯行現場のナイフは中学生が購入したものではなかった）ことなどから、冤罪が疑われる事件である。
最終的に冤罪が認められないまま1986年に終結したが、この事件はのちの少年法改正に大きな影響を与えることとなった。
6月17日｜深川通り魔殺人事件が発生
深川通り魔殺人事件とは、東京都江東区森下二丁目の商店街において発生した無差別殺人事件のこと。
犯人は当時29歳の元トラック運転手で、児童や乳児を含む4名が死亡、2名の負傷者が発生した。
この事件が特に注目を浴びたのは、男が逮捕時に白いブリーフとハイソックスを履き、警察官に猿ぐつわをされて連行される様子がＴＶ中継されたからである。
shiritagirlより引用
男は事件の約2か月前に府中刑務所を出所したばかりで、覚醒剤を常用していたため、覚せい剤の使用が犯行の原因とされている。
この事件により、犯人には無期懲役が言い渡されている。
11月18日｜のちのロス疑惑の火種となる銃撃事件が発生
ロス疑惑とは、アメリカのロサンゼルスで起こった銃撃事件に関して、三浦知義にかけられた一連の疑惑のこと。
1981年11月18日、当時滞在していたロサンゼルスの駐車場で、三浦と妻は2人組の男に銃撃される。
妻は意識不明の重体、三浦も足を撃たれて負傷した。
その後妻は死亡し、三浦は多額の保険金を受け取った。
しかし三浦の供述への疑念や妻に多額の保険金がかけられていたことから、三浦が仕組んだ事件なのではとの報道が1984年頃から過熱した。
日本の裁判で無罪となった三浦だったが、2008年に訪れたサイパン島にて殺人容疑で逮捕される。
その後ロサンゼルス市警内の留置所で三浦は首を吊っているのを発見され、間もなく死亡が確認された。
1981年（昭和56年）に起こったスポーツ界の出来事
3月10日｜横綱の輪島大士が引退
スポーツ報知より引用
1981年のこの日、天才とも呼ばれ、相撲界の一時代を築いた、横綱の輪島大士が引退した。
輪島大士は大相撲の歴史上初となる学生相撲の出身で、初土俵からわずか3年半という異例のスピードで横綱まで昇進。
「昭和の大横綱」と言われた北の湖とともに「輪湖時代」を築いた。
引退後はプロレスラー、大相撲解説、タレントなどを経て、2018年に咽頭がん・肺がんのため亡くなった。
7月21日｜大相撲で千代の富士が横綱へ昇進
ウルフという異名で高い人気を誇っていた千代の富士が、横綱への昇進を果たした。
横綱昇進が懸かった千秋楽で北の湖を破った千代の富士は、「横綱の名を汚さぬよう一生懸命頑張ります」と昇進式で述べた。
同年の9月場所では、怪我による途中休業という挫折を味わうものの、11月場所では横綱としての初優勝を飾った。
1981年の同1年中に関脇・大関・横綱の3つの地位で優勝するという快挙を成し遂げた怒涛の1年は、「ウルフフィーバー」として多くの相撲ファンを湧かせた。
