1995年(平成7年)の出来事やニュースを解説

ニュース・出来事・スポーツ

この記事では1995年(平成7年)のニュース・文化芸能・事件について解説しています。

目次

1995年(平成7年)の主要ニュース

1月17日|阪神・淡路大震災が発生、死者6,434名


阪神・淡路大震災は1995年に発生した大災害であり、第二次世界大戦後に発生した地震としては当時最悪の6,434人もの死者を出した。

阪神・淡路大震災では近畿を中心に広範囲に被害が発生し、東日本大震災が発生するまで戦後に発生した自然災害の中では最悪のものであった。

この震災で特徴的だったのは、都市の直下で発生した災害であることがあげられる。
高速道路やビル・デパートの倒壊など、都市直下型特有の被害がみられた。
発生時間が早朝5時46分と、交通量が少なく商業施設に人が少ない時間帯であったことが不幸中の幸いであったと言える。

また死因は建物倒壊による圧死が多数を占め、神戸市の大学に通う一人暮らしの大学生の犠牲者も多く見られた。

3月20日|地下鉄サリン事件が発生


地下鉄サリン事件とは、大都市圏で化学兵器が使用された同時多発テロである。
死者14名負傷者6300名を出した地下鉄サリン事件は、今まで例がない「大都市で無差別化学兵器テロ」が行われた事件として、世界中に衝撃を与えた。

犯行を行ったのはオウム真理教の信者らで、ラッシュアワーのピーク時にサリンが封入された袋を車内へ持ち込み傘でつついてサリンを車内に充満させ、下車するという犯行を行った。

オウム真理教が地下鉄サリン事件を起こした理由は、オウム真理教に対する強制捜査を遅らせるためであった。
オウム真理教へは警察の強制捜査の手が及びつつあったが、同年1月に発生した阪神・淡路大震災により強制捜査が回避されていた。
大規模事件を起こせばオウム真理教への強制捜査を遅らせることができると、教祖の麻原が推察したためである。

事件発生直後は東京23区に配備されている全ての救急車が出動するなど、医療体制はパニックに陥った。

事件発生から2日後、警察は全国の教団施設25か所の家宅捜索を開始するが決定的な証拠は得られなかった。
しかし4月8日に教団幹部の林郁夫を自転車窃盗の容疑で逮捕すると、教団の姿勢に不信感を覚えていた林はサリンを撒いたことを自供し、捜査は一気に進展することとなった。

事件後は全国の駅からゴミ箱が撤去された。
また「駅構内または車内で不審物・不審者を発見した場合は、直ちにお近くの駅係員または乗務員にお知らせください」という案内やアナウンスが営団地下鉄(現東京メトロ)でされるようになったのは、地下鉄サリン事件が原因である。

4月9日|青島幸男東京都知事、横山ノック大阪府知事が当選


1995年は東京都知事選・大阪府知事選が行われ、東京都知事選ではタレントの青島幸男、大阪府知事選ではおなじくタレントの横山ノックが当選し、タレント候補が東京・大阪で当選したことが話題となった。

青島幸男は放送作家としてテレビ業界で成功をおさめ、「スーダラ節」の作詞やドラマ「いじわるばあさん」で主演を務め人気を博す一方、処女作が直木賞を受賞するなど超マルチタレントとして活躍し、東京都知事選に出馬するまでは参議院議員を務めていた。

青島は「世界都市博覧会の中止」という公約を掲げ、タレントのしての知名度・人気を背景に170万票を越える表を獲得し、圧勝した。
都知事に就任した青島は、公約とおり世界都市博覧会を中止させたが、それ以外の功績を残すことが出来なかったため、1期のみで知事を退任した。

横山ノックは人気漫才師であったが、1968年から参議院議員に当選し、タレントとしても活躍した。
1995年に参議院議員を辞職し、大阪府知事に当選すると、二期目の選挙では主要な対立候補がいなかったことなどから235万票を獲得し当選した。
しかし選挙活動中、運動員をしていた女子大学生から強制わいせつの訴えを起こされる
民事裁判では1100万円の支払いが命じられ、刑事でも在宅起訴されると知事を辞職した。

当初は犯行を否定していた横山であったが、刑事裁判では事実を認め女子大生に謝罪した。

1995年以降、タレント知事やタレント議員が良くも悪くも頻繁に出現するようになった。

4月23日|オウム真理教の村井秀夫刺殺事件発生


村井秀夫はオウム真理教の実質的なNO2であった。
地下鉄サリン事件の総指揮をとっていたが、オウム真理教へのサリン事件の捜査が進む中、教団東京総本部前で指定暴力団山口組系の構成員に刺殺された

教団前には多数のマスコミが張り込んでおり、刺殺される模様は生放送で中継されていた。

刺殺された原因として考えられているのは、オウムが密造していた覚せい剤を暴力団へ販売していたためその口封じに殺害されたのではないかと言われている。
裁判では犯人に懲役12年の刑が下されたが、裁判長は「犯行の背後関係がいまだ解明し尽くされていない」と発言したように、動機に不明な点が多い。

5月16日|オウム真理教、麻原彰晃らを逮捕


松本サリン事件、坂本弁護士一家殺害事件、サリン事件などの首謀者であったオウム真理教の教祖・麻原彰晃が逮捕された
逮捕の容疑は地下鉄サリン事件の首謀者としてのものであったが、一連のオウム事件の首謀者として起訴され2006年に死刑が確定し、2018年に死刑が執行された。

起訴されていた罪状は、男性信者殺害事件・坂本堤弁護士一家殺害事件・サリンプラント建設事件・薬剤師リンチ殺人事件・松本サリン事件・地下鉄サリン事件など13件にも及んだ。

逮捕された場所は山梨県にある上九一色村にある教団施設「第六サティアン」であり、階段天井部分に作られた隠し部屋に隠れていたところを発見された。
第六サティアンの捜査時には、毒検知用のカナリヤが用意されるなど物々しい雰囲気で麻原の捜索が行われた。

逮捕されてからの麻原は奇行が増え、弁護士との意思疎通も難しい状態で裁判は進んだ。
また横山昭二が麻原の私選弁護人となったが、横山の特異なキャラクターはマスコミの格好の餌食となり、ワイドショーで面白おかしく取り上げられることとなった。

6月21日|全日空857便ハイジャック事件が発生


全日空857便ハイジャック事件とは、函館空港で東京国際空港発、函館空港行きの全日本空輸857便がハイジャックされた事件である。
犯人の男はオウム真理教の教祖麻原彰晃の釈放と羽田空港への引き返しを要求した。

事件発生から12時間後、突入した機動隊員や警視庁警備部特科中隊員に犯人は取り押さえられたが、犯人は東洋信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)の行員で、精神疾患で休職中であった。
犯人はオウム真理教とは全くの無関係であり、所有していると主張していたプラスチック爆弾やサリンは偽物であった。

犯人には懲役10年の判決が言い渡され、民事訴訟でも5300万円の損害賠償が命じられている。
東洋信託銀行は、新聞に事件に関する謝罪報告を掲載している。

7月|大和銀行ニューヨーク支店巨額損失事件発生


大和銀行ニューヨーク支店巨額損失事件とは、大和銀行ニューヨーク支店に勤務していた井口俊英が、12年間で1100億円の損失を被った事件である。

井口は1983年に取引で5万ドルの損失を被ったが、失職を恐れ書類の改ざんにより損失を隠蔽する。
損失を取り戻そうと運用額を増やす井口であったが、損失は膨らみ、12年で1100億円の損失を抱える。
また運用額が大きくなりすぎたため、市場で井口の手段は読まれてしまってい利益を上げることが困難となる。

最初に損失が発生してから12年後の1995年、井口は巨額損失を抱えていることを大和銀行頭取へ手紙で告白し、事件は発覚する。
損失額が巨額であることを把握した大和銀行は、大蔵省へ報告を行った。
しかしアメリカ連邦準備制度理事会(FRB)への報告が遅れたことから、大和銀行の行動は隠蔽とみなされ、当時の米刑法の罰金として過去最高額の350億円の罰金を支払うよう命じられ、大和銀行はアメリカ合衆国から完全撤退を強いられることとなった。

大和銀行はバブル崩壊で負債を抱えた上に多額の罰金課せられ、さらに米国市場を失ったため、金融再編の波に飲まれて現在のりそな銀行となっている。

井口俊英は事件に関しいくつかの書籍を出版したが、2019年に肺がんのため他界している

8月|兵庫銀行が戦後初の銀行として経営破綻

Time-AZより引用

兵庫銀行は1912年に設立された三木勧業株式合資会社を前身とし、1980年代のバブル景気とともに業績を急拡大させ、1991年には初の海外拠点を開設するに至った。
しかし業績を拡大させた要因は、製造業などへの貸出金ではなく株式や不動産への投資であったため、バブル崩壊のあおりでそれらはすべて不良債権化してしまう。

元大蔵省の吉田正輝が社長へ就任し、経営再建を目指したが1995年に起きた阪神淡路大震災により支店が打撃を受け、また破綻処理に伴う公的資金注入などが問題化し、1995年兵庫銀行は破綻処理されることが決定する

また兵庫銀行の後を受けみどり銀行が発足し経営を続けたが、1998年に破綻している。

9月4日|沖縄米兵少女暴行事件が発生


沖縄米兵少女暴行事件とは、沖縄県に駐留するアメリカ海兵隊員など3名が、12歳の女子小学生を拉致して集団強姦した事件である。

この事件で最も沖縄県の感情を逆なでしたのは、日米地位協定によりアメリカ兵の拘禁をアメリカ側が行ったため、被疑者を取り調べるという日本側の捜査ができなかったという点であった。
元々沖縄県民の間では反米・反基地感情がくすぶっていたが、この事件を契機に沖縄県民の怒りが爆発し、各地でアメリカ軍に対する抗議活動が行われた

同年この抗議活動を受けて、日米地位協定は「被疑者の拘禁の移転について、アメリカは好意的な考慮を行う」よ運用改善された。

1996年にこの事件を起こした3人の米兵に対し、懲役6年6か月から7年の実刑判決がくだされ刑が確定している。
なおこの3人のうち1人は、アメリカに帰国後女子大生を暴行・殺害し、自殺している。

9月5日|坂本弁護士殺害事件被害者の坂本夫妻を新潟・富山両県内の山中から遺体で発見


坂本弁護士一家殺人事件とは、1989年に弁護士であった坂本堤と家族3人が殺害された事件である。
犯人はオウム真理教の幹部らであり、坂本弁護士はオウム真理教を批判していたため殺害された。

当初オウム真理教の関与が疑われていたが捜査は行き詰っており、地下鉄サリン事件で捜査を行う中で実行犯の一人である岡崎一明が自供を行ったため、事件の犯行が明らかとなった
警察により山中の捜索が行われ、坂本弁護士と妻の遺体が9月6日に発見され、長男の遺体も9月10日に発見された

死体の発見には殺害から6年という長い年月が経過していた。

12月8日|高速増殖炉原型炉「もんじゅ」でナトリウム漏れ事故が発生


「もんじゅ」は福井県にある日本原子力研究開発機構の高速増殖炉であり、文部省の管轄である。
「もんじゅ」は高速増殖炉の原型炉として、実用化へ向けた技術開発に寄与することを目的としていたが、1995年に冷却剤として使用していた金属ナトリウムを漏洩し、それに伴う火災が発生した

事故後の記者会見で、事故当時に撮影されたビデオが公開されたが、この動画は編集されたものであることが明らかとなりメディアや反原発団体による強い抗議が行われた。
この抗議により未公開部分が公開されるに至ったが、報道の過熱により動力炉・核燃料開発事業団の総務部次長が自殺に追いやられたため、その後はマスコミによる追及が収まった。

2010年に再運転を開始するが、8月に中継装置落下事故が発生し稼働が停止、2012年に再稼働予定であったが2016年に廃炉が正式決定した。

1995年(平成7年)の文化・芸能ニュース

3月19日|ルパン三世の声優で知られる山田康雄が死去


山田康雄は洋画でクリント・イーストウッドの吹き替えやアニメ『ルパン三世』の声で知られていた声優である。

特にルパン三世の吹き替えでは1971年に抜擢されて以来、23年間にわたりルパン三世を演じ続け、ルパン三世の声と言えば山田康雄という構図を作り上げた。
1993年春から低カリウム血漿となり入院するなど体調を崩しており、1995年に脳出血のため自宅で倒れ、意識不明の状態が続いたが、入院から1ヶ月後の3月19日に様態が急変し他界した

ルパンの声優の後継には、ものまねタレントの栗田貫一が選出された。
栗田貫一は山田康雄と親交があり、山田が倒れたため「代役」としてアテレコに挑み、そのままルパンの声優として定着している。

5月29日|横綱・貴乃花が元フジテレビアナウンサー・河野景子と結婚


大相撲・貴乃花は1995年に横綱に昇進するとともに、元フジテレビアナウンサーの河野景子との結婚を発表し、5月に結婚した
婚約を発表した時は妊娠6ヶ月であり、国民的スターの結婚に日本中の注目を集めた。

2004年に河野景子は引退した貴乃花が継承した二子山部屋の女将となったが、貴乃花の日本相撲協会退職により女将を退き、2018円10月25日に離婚している。

1995年(平成7年)の事件

1月5日|埼玉愛犬家連続殺人事件の被疑者が逮捕


埼玉愛犬家連続殺人事件とは、ペットショップを経営する風雨がトラブルとなった客を次々と毒殺し、4名を殺害した事件である。

1994年に大阪愛犬家連続殺人事件の被疑者が逮捕されると、同様に埼玉県でも愛犬家が連続失踪しているという噂が流れ、マスコミが取り上げるようになった。
「実際には子犬を生むのに適していない成犬を高値で売る」など詐欺的な手法により犬を高値で売り付け、トラブルになるとその顧客を犬の殺処分用の硝酸ストリキニーネで殺害していた。

夫婦はともに2009年6月5日に死刑が確定している。

5月12日|大阪連続バラバラ殺人事件の犯人を逮捕


大阪連続バラバラ殺人事件とは、大阪市で4人の女性と1人の少女が殺害され、少女以外の女性の遺体がバラバラにされた事件

加害者の男性は、次の5件の事件を起こしている

  • 46歳の主婦に、自宅マンションで飲酒を注意したところ、反抗したため殺害
  • 自宅へ連れてきた19歳少女に1万円を小遣いとして要求されたため殺害
  • そろばん塾から帰宅途中の9歳の女児をわいせつ目的で誘拐したが、泣き叫んだため殺害
  • 自宅でスナック従業員の45歳女性から金銭支払いを求められたため絞殺
  • 自宅で38歳の飲食店女性に、金銭支払いを求められたため殺害

加害者は、普段は温和であったが酒に酔うと腹を立てたり、急に怒り出すなどの二面性が指摘されている。

2016年3月25日に死刑が執行された。

7月30日|八王子スーパー強盗殺人事件


八王子スーパー殺人事件とは、スーパーマーケット事務所で発生した拳銃強盗殺人事件であり女性店員3人が殺害されるが、謎が非常に多い未解決事件である。

東京と八王子市大和田町のスーパー「ナンペイ」の事務所内で、47歳のパート従業員、アルバイトの女子高生2人の合計3人が射殺された。

パート従業員は額と頭頂部に銃口を押し付けられ、1発ずつを銃撃されていた。
女子高生はそれぞれ粘着テープで口を塞がれて、後頭部に1発ずつ撃たれて殺害されていた。
また金品の強奪や、事務所内の物色はされていなかった。

犯行動機は強盗・怨恨、両方の説があるが、決定的となる根拠は見つかっていない。
2020年になり、暴力団関係者の男性が「八王子で未解決の強盗殺人を起こした」中国人の男について証言したことが、明らかとなっている。

1995年(平成7年)のスポーツ

6月8日|全仏オープンテニスで伊達公子が日本人選手初のベスト4に進出

アフロより引用

伊達公子が、日本人選手初となる全仏オープンベスト4入りを達成した。
準決勝ではスペインのアランチャ・サンチェス・ビカリオに敗れはしたが、その試合は日本のテレビでも放送され、テニスファンに留まらず多くの国民を熱狂させた。

前年1994年にはグランドスラムベスト4を果たしており、この年の全仏オープン前には東レ パン・パシフィック・オープン・テニストーナメントで初優勝、リプトン国際選手権で準優勝を達成していた。

一連の活躍により、伊達公子は自己最高の世界ランキング4位に入った。
また、同年に日本プロスポーツ大賞殊勲賞を受賞した。

7月5日|ウィンブルドン選手権で、松岡修造が日本人男子として62年ぶりのベスト8進出


男子テニスの松岡修造が、ウィンブルドン選手権で日本人男子として62年ぶりのベスト8進出を果たした。

1988年に年間ランキングトップ100入りを果たして以降世界的な活躍を続け、1992年にはシングルスランキングで46位を記録した松岡だったが、1992年末に伝染性単核球症に罹患したことで、それ以降思うような成績を出せていなかった。

このウィンブルドン選手権でも当時予選からの出場予定だったが、欠員が出たことで本戦出場の資格を得ていた。
そんなチャンスを掴み取って見事にベスト8入りを決めた松岡は、全身で歓びを表現し、コート中を駆け回ったのち大の字になって天を仰いだ。

松岡はこの大会以降も活躍を続け、1998年に現役を引退した。

11月26日|大相撲九州場所千秋楽、兄・大関若乃花と弟・横綱貴乃花が激突、大きな話題となる


大相撲九州場所千秋楽で、兄・大関若乃花と弟・横綱貴乃花の兄弟対決が実現した。

大相撲では同部屋の対戦は原則として行われないが、千秋楽で二人の勝ち星が並んだため優勝決定戦で優勝を決めることとなったのだ。
史上初の兄弟による優勝決定戦は、右からの下手投げで若乃花が勝利した。

若乃花は、2019年にテレビ番組でこの時のことを聞かれ、兄弟対決の複雑な心境を「最悪だと思った」と語っている。
この対決は、若貴対決として現在も語り継がれている。

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